SAKE DIPLOMA講師が教える日本酒プチ講座(製造工程1)

SAKE DIPLOMAの本丸ともいえる「日本酒の製造工程」の解説です。



今回は、概論として、ざっくりと日本酒の製造工程「原料処理~上槽=日本酒の製成まで」について、解説いたします。

大まかな流れは、添付の図をご覧ください。



日本酒は、皆さんご存知の通りお米から作りますが、まず原料となる「米」を加工し、でんぷんを分解しやすくする為に、加熱(蒸し)し、熱を冷ましてから、各製造工程に使用していきます。



まず、酒蔵にはお米は玄米の状態で納入されますので、

最初に精米 を行います。精米したてのお米は、精米時の熱で乾燥しているため、水分を戻すために、2週間ほど放置=枯らし を行います。

枯らしが終了したら、次に 洗米 を行います。

洗米は、表面の糠(ぬか)や米の粉等を洗い流します。方法としては、洗米機を使用したり、手作業で洗ったり様々です。

洗米の後お米に水分を吸わせる為に 浸漬 を行います。お米に含ませる水分量=吸水率がその後の麹造り等に大きな影響を与えるので、吸水率を適正に管理する事が求められます。

浸漬が終わったお米は、でんぷんを糖化しやすい状態=「でんぷんのα化」にするために、蒸きょう(蒸し) します。

蒸したてのお米は高温なので、その後の工程で使用する適温まで冷ます= 放冷 します。

適度な温度まで冷まされた「蒸し米」は、その後のそれぞれの工程

製麹(麹造り) 酒母 仕込み(三段仕込)

に分けて使用されます。

麹は、その後工程の 酒母 と 仕込み(三段仕込)

の両方に使用されます。



その次の工程は、「麹・蒸し米・仕込み水・酵母」を原料として 酒母 を仕込み、酵母を純粋かつ大量に培養します。

酒母が出来たら、日本酒の元となる「醪」を造る為に、仕込み(三段仕込)を行います。

三段仕込は、3回(添・仲・留)に分けて、酒母に麹と蒸し米と仕込み水を投入します。三段仕込みは酵母数が一気に薄まらないように、徐々に量を増やしていく、先人の知恵から生まれた仕込み方法です。

35週間程の間「醪」を発酵させ、アルコール度数や日本酒度・酸度などが当初の酒質設計状態になった時点で、最後 上槽=搾る=こす 作業にて、「醪」を「日本酒」と「酒粕」に分離し、日本酒(清酒) が完成いたします。